香港の飲茶・グルメ

香港で食べないで帰ることは、旅の大きな損失だ。広東料理の本場である香港は「飲食天堂(食の天国)」と呼ばれ、米シュラン星付きの高級店から、路地裏の庶民食堂まで、徹底的な美食文化が根付いている。飲茶の作法と香港グルメの基礎を知って、より深く食を楽しもう。

飲茶(ヤムチャ)とは

**飲茶(ヤムチャ)**は広東語で「お茶を飲む」という意味。点心と呼ばれる小皿料理をお茶と一緒に楽しむ、香港の伝統的なブランチ文化だ。

いつ行く?

  • 朝食から昼食の時間帯(7:00〜15:00頃)が一般的。週末は特に混雑する
  • 地元民に倣って、11:00〜13:00の時間帯は並ぶ覚悟をしておこう

飲茶の注文スタイル

伝統的スタイル(カート式): お茶を注文した後、ワゴンを押したスタッフが各テーブルを巡回し、点心を乗せた蒸籠(せいろ)を見せてくれる。食べたいものがあれば手を上げて取ってもらい、テーブルに置かれたスタンプカードに記録される仕組み。

現代スタイル(メニュー注文): 多くの店でメニューを見て注文書にチェックする形式に変わっている。品質とタイミングをコントロールしやすい利点がある。


飲茶エチケット

香港の飲茶には細かなマナーがある。知っておくと地元民のように楽しめる。

マナー 内容
まずお茶を注文 席についたらまず「何茶にしますか?」と聞かれる。普洱茶・菊花茶・烏龍茶などを選ぶ
お茶を注ぐ順序 年長者・目上の人から順に注ぐ。自分のを最後に
感謝のジェスチャー お茶を注いでもらったとき、テーブルを2本指で3回軽く叩く。これが「ありがとう」の合図
ティーポットが空になったら ティーポットの蓋を少し開いておく。これがお湯の補給を求めるサイン
料理のシェア 大皿が来たら最初に年長者・目上の人に取り分ける
回転テーブル 誰かが取っている最中は回さない
シェア箸 大皿から料理を取るときは共用の箸を使う(自分の箸で直接取ると非礼)

代表的な点心メニュー

点心名 説明 価格目安
蝦餃(ハーガウ) エビの蒸し餃子。点心の王様。皮の薄さが職人の腕の見せどころ HK$30〜50(3〜4個)
焼売(シウマイ) 豚肉とエビの蒸し餃子。上に蟹卵が乗ったものも HK$30〜50
腸粉(チョンファン) 薄い米粉の皮でエビや焼豚を包んで蒸したもの。甘口醤油をかける HK$30〜50
蘿蔔糕(ロバッゴウ) 大根餅。弱火で焼いてカリカリに HK$25〜40
叉焼包(チャーシューバオ) 焼豚入りの蒸しまんじゅう。ふわふわの生地が特徴 HK$25〜40(3個)
蛋撻(エッグタルト) 香港式カスタードタルト。外皮はサクサクのショートブレッド or パイ生地 HK$10〜20
春巻(シュンギュン) 野菜・肉を包んで揚げたサクサクの点心 HK$30〜50
鳳爪(フォンジャウ) 鶏の爪の蒸し煮。コラーゲン豊富で香港の定番 HK$30〜50

香港グルメ定番料理

雲呑麺(ワンタンミン)

広東式ワンタン麺は香港食文化の象徴。豚骨と魚骨のスープで仕上げた澄んだスープに、シャキシャキのエビ入りワンタンと弾力のある細麺(竹昇麺)が入る。

  • 名店:Mak Man Kee(麦文記)・Ho Hung Kee(何洪記)・Tsim Chai Kee(沾仔記)
  • 価格:HK$40〜55 / 1杯(約800〜1,100円)
  • 食べ方のコツ:辛子の入った自家製チリソースを少量加えると風味が増す

焼き鵝(ローストグース)・チャーシュー

香港の焼き物(烧味 / Siu Mei)文化は広東料理の真骨頂。

  • 焼き鵝(ローストガチョウ):Yat Lok(一樂)はミシュラン1つ星。20工程の調理で仕上げる皮のパリパリ感が絶品
  • 叉焼(チャーシュー):蜂蜜を塗って焼き上げた豚肩肉。脂身と赤身のバランスが命
  • 価格:200g前後 HK$60〜100程度

茶餐廳(Cha Chaan Teng)— 香港式カフェ

香港固有の庶民カフェ。西洋文化と広東文化が融合した独自のメニューが楽しい。

定番メニュー

  • 奶茶(港式奶茶):シルキーな紅茶にたっぷりのミルクを加えた甘いミルクティー。「スッキング(出奶茶)」と注文
  • 西多士(フレンチトースト):練乳・バター・ピーナッツバターを挟んで揚げたトースト
  • 蛋治(エッグトースト):スクランブルエッグをはさんだトースト(バター・練乳がけが多い)
  • マカロニスープ:ミルクベースまたはスープベースのスパゲッティ系のブランチ定番

価格:セット(飲み物+トースト)で HK$40〜70程度 雰囲気:プラスチックの椅子・テーブルに次から次へとお客が押し込まれる。効率的で接客が素っ気なく感じることもあるが、それが香港らしさ


大牌档(Dai Pai Dong)— 屋台

香港政府から認可を受けた屋外式食堂。都市開発で激減しているが、いくつかのエリアにはまだ残っている。

特徴

  • 鉄板・中華鍋でガッと火力を上げた豪快な炒め物
  • 蝦仁炒飯(エビチャーハン)・牛河(牛肉の米粉炒め)・空心菜炒め等
  • 安くて美味い。ただし深夜の衛生面は星付きレストランとは異なる

おすすめのエリア・行き方

エリア 特徴
尖沙咀(TST) 高級〜ミドルレンジの飲茶が充実。観光客が入りやすい
旺角(Mong Kok) 庶民的な茶餐廳・麺料理・屋台が密集。地元感が強い
中環(Central) ビジネスランチの本場。高級飲茶も多い
深水埗(Sham Shui Po) 下町グルメの宝庫。安くて旨い穴場食堂が多い

旅行者向けTips

  • 人気飲茶店の週末のランチは1〜2時間待ちも珍しくない。平日の朝一か、オフピークの14:00〜17:00を狙う
  • 蛋撻(エッグタルト)はTai Cheong Bakery(泰昌餅家)の紅色看板が有名。サクサクのショートブレッド型を試してほしい
  • 「叉焼包をひとつ注文する」には「唔該、一籠叉焼包(mm goi, yat lohng chaa siu baau)」と言えば通じる
  • 茶餐廳は早朝6:00〜7:00から開いている。朝食を地元スタイルで食べると旅の質がぐっと上がる

飲茶名店ガイド(2026年)

高級・ミシュラン系

店名 場所 特徴 予算/人
Tim Ho Wan(添好運) 旺角・北角ほか 元ミシュラン星。庶民価格で最高品質の点心 HK$100〜150
Lung King Heen(龍景軒) 四季ホテル(中環) ミシュラン3つ星。ビクトリアハーバービュー HK$600〜1,000
Dim Sum Square 中環 観光客にも入りやすいモダン飲茶 HK$200〜300
Sun Hing Restaurant(新興食家) 堅尼地城 深夜〜早朝(3:00〜14:00)営業。地元の夜食文化を体験 HK$80〜120

ローカル・コスパ重視

店名 場所 特徴
City Hall Maxim's(大會堂美心皇宮) 中環・香港大会堂内 正統派カート式飲茶の最後の砦。絶景ハーバービュー
Lin Heung Tea House(蓮香居) 上環 1920年代創業の老舗。伝統スタイルを守る

ミルクティー(港式奶茶)の深淵

香港のミルクティーは「絲襪奶茶(シルクストッキング奶茶)」と呼ばれ、極細の布フィルターで何度も濾して作るのが特徴。茶葉は複数種類をブレンドし、渋みとまろやかさのバランスが絶妙。

種類 特徴 温度
熱奶茶(Yit Naai Cha) 熱いミルクティー HOT
凍奶茶(Dung Naai Cha) 氷入りアイスミルクティー COLD
鴛鴦(Yuenyeung) コーヒー+ミルクティーをブレンドした香港独自 HOT or COLD

注文の仕方:広東語でのオーダーは「一杯熱奶茶(yat bui yit naai cha)」= 熱いミルクティー1杯。カタコトでも「Hot Milk Tea, one cup」で通じる。

関連グルメ体験:香港スイーツ

飲茶以外にも試したい香港固有のスイーツ。

スイーツ 説明 どこで
糖水(Tong Sui) 豆腐花・ゴマ団子・芋圓などの中国式スイーツ全般 専門店(糖水舗)
豆腐花(ドウフォーファー) 柔らかい豆腐のデザート。シロップがけ 旺角、深水埗の街中
エッグワッフル(雞蛋仔) バブル状のストリートワッフル。外はサクサク中はフワフワ 街頭屋台
芋頭糕(タロイモケーキ) タロイモの蒸しケーキ 点心・飲茶店でも提供

深水埗(Sham Shui Po)グルメ探訪

香港で最もローカル色が強く、古い香港の食文化が残るエリア。

  • テイスティングスクエア(Taste Square):廉価なブランチ食堂が密集。HK$30〜50で充実した朝食
  • 元合燒鵝飯店:焼き鵝(ガチョウ)の地元名店。観光客向けではないが英語メニューあり
  • 好到底麵家:名物の雲呑麺が深夜も食べられる。地元住民がよく利用
  • アクセス:MTR深水埗(Sham Shui Po)駅A2出口すぐ

更新履歴

  • 2026-03-25: 名店ガイド・ミルクティー・スイーツ・深水埗を追加
  • 2026-03-24: 初版作成