チェンマイは旧市街を中心にコンパクトにまとまった街で、バンコクほど交通が複雑ではない。電車やBTSのような都市鉄道はなく、移動手段の主役はソンテウ(赤い乗り合いトラック)、Grab、バイクの3つ。空港から市内も近く、到着後すぐに動き出せるのがこの街の良さだ。

チェンマイ国際空港(CNX)から市内へ

空港は旧市街の南西わずか約5km、車で15〜20分の距離にある。深夜便でも移動手段に困ることはほぼない。

空港タクシー(定額制)

到着ロビーのタクシーカウンターで行き先を告げると、定額料金で配車される。

  • 旧市街エリア: 150 THB
  • 旧市街の外(ニマンヘミン通り周辺など): 200 THB
  • 24時間運行、深夜でも追加料金なし

大荷物でも安心で、英語の通じるドライバーが多い。初めてのチェンマイ、深夜着、荷物が多い場合はこれが最も確実な選択肢。

Grab(配車アプリ)

配車アプリGrabでの移動

空港にはGrab専用のピックアップエリアがある。到着ロビー1番出口を出て直進約40m、係員が常駐しておりナンバー照合もしてくれる。

  • 旧市街まで: 140〜200 THB(時間帯・需要で変動)
  • ニマンヘミン周辺: 150〜250 THB

料金はタクシーと同程度だが、行き先をアプリで指定するのでコミュニケーション不要という安心感がある。サージ(需要増による割増料金)が発生している場合は、5分ほど待ってから再検索すると落ち着くことが多い。

RTCチェンマイ市内バス

最も安い選択肢。空港から旧市街を経由してニマンヘミン方面まで運行している。

  • 料金: 50 THB(一律)
  • 所要時間: 30〜45分(ルートと渋滞次第)

「ViaBus」アプリをインストールすると車両の現在地がリアルタイムで確認できる。荷物が少なく、時間に余裕がある旅行者向け。

交通系ICカード・ツーリストパス

チェンマイにはバンコクのBTS/MRTのような都市鉄道がないため、Rabbit Card(ラビットカード)やMangmoom Card(マングムンカード)のような交通系ICカードの出番は限定的。ただし、RTCシティバスではRabbit Cardが利用可能で、ツーリストカード(1〜3日間乗り放題)も販売されている。

  • Rabbit Card: RTCシティバスで使用可能。バンコクのBTSで使っているカードがそのまま使える
  • ツーリストカード: 1日・2日・3日間のRTCバス乗り放題パスがある
  • 購入場所: チェンマイ国際空港(出口1番付近のRTCカウンター)、セントラルフェスティバル、プロムナーダモール

バスの1回乗車が30 THBと安いため、1日3回以上バスに乗る予定がなければ都度払いで十分。バス以外の交通手段(ソンテウ、トゥクトゥク、Grab)は全て現金またはアプリ決済なので、ICカードにこだわる必要はない。

ソンテウ(赤い乗り合いトラック)

空港の外に出れば拾えるが、空港発は観光客向けに高めの料金を提示されることがある。相乗りで1人40〜50 THB程度、チャーター(貸切)だと150〜200 THB。空港ではタクシーかGrabの方が効率的。

ホテル送迎

中級以上のホテルは空港送迎サービスを提供している。200 THB前後からで、名前ボード出迎え・90分の無料待機付きが一般的。予約時にホテルに確認しておくとよい。

市内の移動手段

チェンマイ旧市街を走る赤いソンテウ

ソンテウ(赤いソンテウ)

チェンマイのシンボル的存在。赤い屋根のピックアップトラックの荷台に乗り合う。旧市街内に多く走っており、手を挙げて止め、行き先を告げて料金を確認してから乗る。

  • 旧市街内: 30〜50 THB/人
  • 旧市街〜ニマンヘミン: 40〜60 THB/人
  • 郊外(ドイステープ寺院など): 片道 60〜100 THB/人(相乗り)

降りたいときは車内のブザーを押す。お釣りが出ないこともあるので小額紙幣を用意しておくこと。行き先が同じ方向の乗客がいないと出発しない場合もあり、急いでいるときは向かない。

トゥクトゥク

短距離の移動に。料金は交渉制で、旧市街内なら100 THB前後が相場。観光客と分かると高めに言われることもあるが、相場を知っていれば適正価格に落ち着く。ニマンヘミン〜旧市街は100〜150 THB程度。

風を感じながら走るのは楽しいが、あくまで観光体験としての乗り物で、コストパフォーマンスではGrabやソンテウに劣る。

Grab

チェンマイではUberは使えず、配車アプリはGrabが主流。車(GrabCar)とバイク(GrabBike)の両方を選べる。

  • 旧市街内: 60〜100 THB
  • 旧市街〜ニマンヘミン: 80〜150 THB
  • 旧市街〜空港: 140〜200 THB

料金が事前確定するため交渉不要。深夜や雨の日など他の手段が見つかりにくいときに特に頼りになる。タイのSIMカード(電話番号)が必要なので、空港でSIMを買ってからアプリ登録するのが現実的な順序。

その他の配車アプリ(Bolt・inDrive)

Grab以外にも複数の配車アプリがチェンマイで利用可能になっている。

Bolt

ヨーロッパ・アフリカ発の配車プラットフォームで、チェンマイでもサービスを展開中。500人以上のドライバーが登録しており、Grabより料金が安い傾向がある。アプリのUIはGrabと似ており、使い方に迷うことはない。

inDrive

他のアプリと異なり、乗客が自分で料金を提示し、ドライバーが承諾・拒否・カウンターオファーする「交渉型」の仕組み。相場を知っていれば安く乗れるが、急いでいるときはGrabやBoltの方が確実。

使い分けの目安:

  • 確実に捕まえたい: Grab(ドライバー数が最多)
  • 安く乗りたい: Bolt → inDrive の順に比較
  • サージ(割増)回避: 複数アプリを見比べて、サージが出ていないアプリで呼ぶ

いずれもタイのSIMカード(電話番号)での登録が必要。日本で事前にアプリだけインストールしておき、現地でSIMを入れてから認証するのが効率的。

移動アプリ一覧

アプリ 用途 チェンマイ対応 備考
Grab 配車(車・バイク) ○ タイ最大手、最も確実
Bolt 配車(車) ○ Grabより安い傾向
inDrive 配車(交渉型) ○ 自分で料金提示、節約向き
ViaBus バス位置確認 ○ RTCバスのリアルタイム追跡
Google Maps 経路検索・ナビ ○ ソンテウのルートは非対応
Grab Food フードデリバリー ○ Grab内の機能
LINE MAN フードデリバリー ○ タイのローカルデリバリー
Robinhood フードデリバリー ○ 手数料無料がウリ

※ Uber はタイから撤退済み(2018年にGrabに統合)。

レンタルバイク / スクーター

チェンマイではバイク移動が非常にポピュラーで、旧市街周辺にレンタルショップが多数ある。

  • 110cc〜125ccスクーター: 150〜250 THB/日
  • 長期割引: 月 2,000〜4,500 THB 程度

注意点:

  • 国際運転免許証が必要。日本の普通免許の国際免許はタイでは四輪のみ有効で、バイクには原付・二輪免許の国際免許が必要。無免許運転は検問で200 THBの罰金、事故時に保険が効かないリスクがある
  • パスポートを保証金代わりに預けるよう求められることが多い。紛失リスクを避けるなら現金デポジット(2,000〜3,000 THB)で交渉すること
  • ヘルメット未着用は罰金200 THB。検問は旧市街ゲート付近で頻繁に行われる
  • 借りる前にバイクの傷や状態を写真・動画で記録し、店と共有しておくことでトラブルを防げる

レンタサイクル / シェアサイクル

旧市街内の寺院巡りなど短距離の移動なら自転車で十分。ゲストハウスで1日50 THB前後で借りられるほか、Anywheelなどのシェアサイクルも使える(解錠15 THB + 毎分3 THB)。

旧市街は比較的平坦だが、暑季(3〜5月)の日中は気温40度近くになるため、自転車移動はかなり体力を消耗する。

レンタカー

チェンマイ市内だけなら不要だが、ドイインタノンやチェンライへの日帰りなど郊外を自由に回りたいなら選択肢に入る。空港にHertz、Budget、Thai Rent A Carなどの窓口があり、市内にもローカルのレンタカー店が多数ある。

  • 料金目安: 小型車 800〜1,500 THB/日、SUV 1,500〜3,000 THB/日
  • 最低年齢: 21歳以上(会社により異なる)

国際運転免許証(IDP)が必須:

タイで車を運転するには、日本の運転免許証に加えて国際運転免許証が必要。IDPがない状態で事故を起こすと海外旅行保険が適用されない可能性が高い。日本出発前に各都道府県の運転免許センターで取得しておくこと(発行手数料2,350円、即日交付)。

タイの運転ルール:

  • 左側通行(日本と同じ)、ハンドルは右側
  • 制限速度: 市街地 50 km/h、一般道 90 km/h
  • シートベルト: 運転席・助手席は義務(後部座席も推奨)
  • ラウンドアバウト: 中にいる車が優先、進入時は右側を確認
  • 飲酒運転: 血中アルコール濃度 0.05% 以上で違法、外国人でも逮捕される
  • 交通マナー: 方向指示器を出さない車、逆走バイク、急な割り込みが日常的。日本の感覚で運転すると危険。防御運転を徹底すること
  • 山道: ドイステープやドイインタノンへの道はカーブが多く、道幅が狭い箇所もある。大型車とのすれ違いに注意

バンコクからチェンマイへ

距離は約700km。飛行機、寝台列車、バスの3択。

飛行機

最も速く、LCCを使えば最も安いことも多い。

  • 所要時間: 約1時間15分
  • 料金: 片道 2,000〜4,500 THB(LCC)
  • 主なLCC: タイ・エアアジア、ノックエア、タイ・ライオンエア、タイ・ベトジェット
  • フルサービス: タイ国際航空、バンコクエアウェイズ

1日に数十便が飛んでおり、早めの予約なら片道2,000 THB以下で取れることもある。バンコク側の空港はドンムアン(LCC中心)とスワンナプーム(フルサービス中心)に分かれるので、航空会社に合わせて確認すること。

寝台列車

バンコク〜チェンマイ間の鉄道旅行は、東南アジアの旅のハイライトとして人気がある。

  • 所要時間: 10〜14時間
  • 出発駅: クルンテープ・アピワット中央駅(旧名: バンスーグランド駅)

主な列車と料金

列車 出発 到着 クラス 料金
9号 18:40 翌07:15 1等寝台(エアコン) 上段 1,446 THB / 下段 1,646 THB
9号 18:40 翌07:15 2等寝台(エアコン) 上段 938 THB / 下段 1,038 THB
10号 20:05 翌08:45 1等寝台(エアコン) 上段 1,446 THB / 下段 1,646 THB
13号 20:45 翌11:40 2等寝台(エアコン) 上段 768 THB / 下段 838 THB

9号・10号は中国製の新型車両で設備が良く、人気が高い。繁忙期は数週間前に売り切れるため、早めの予約を推奨する。タイ国鉄の公式サイト(dticket.railway.co.th)またはアプリ「D-Ticket」からオンライン予約可能。

1等個室は2人用コンパートメントで、上段+下段を1人で使うこともできる(追加料金あり)。2等は開放型の寝台で、カーテンで仕切るスタイル。

長距離バス

最も安いが、体力的にはハード。

  • 所要時間: 10〜12時間
  • 料金: 500〜900 THB
  • 主要バス会社: ナコンチャイエアー、バスラカム、チャードチャイツアー
  • バンコク側の出発地: 北バスターミナル(モーチット)

VIPバスはリクライニングシート・トイレ付きで比較的快適。夜行便なら宿泊代も浮く。

SIM / WiFi事情

空港でのSIMカード購入

チェンマイ空港の到着ロビーにAIS、TrueMove H、DTACの3大キャリアのカウンターがある。パスポートを見せるだけで、スタッフがSIMのセット・アクティベーションまで全てやってくれる。所要時間は5〜10分。

主なツーリストSIMプラン(目安)

キャリア プラン例 料金 特徴
AIS 8日間 / データ無制限 299〜449 THB タイ最大手、5G対応エリアが広い、通信速度が安定
TrueMove H 15日間 / データ無制限 699 THB 5G対応、大容量プランが充実
DTAC 8日間 / データ無制限 449 THB 通話込みプランあり

短期旅行(1週間以内)ならAISの8日間プランがコスパ良好。長期滞在やノマドワーカーなら30日間の無制限プラン(各社 799〜1,199 THB)も選べる。

eSIM対応スマホなら: 日本出発前にAISやTrueMoveのeSIMをオンラインで購入しておけば、着陸後すぐに通信できる。物理SIMの入れ替えも不要。

カフェ・宿のWiFi

チェンマイはデジタルノマドの街として知られるだけあり、WiFi環境は非常に良好。

  • カフェ: ほぼ全てのカフェに無料WiFiがある。ニマンヘミン通り周辺は特に高速で安定している
  • ゲストハウス / ホテル: ほぼ100%でWiFi提供。速度は施設によりばらつきがある
  • コワーキングスペース: CAMP(MAYAモール5F)、Punspace、Hub53など。月額パスもあり

SIMカードを持っていれば、WiFi頼みにならずに済むので安心。

近郊都市への日帰りアクセス

チェンマイは北タイ観光の拠点として、日帰りで行ける魅力的な都市やスポットが多い。

チェンライ(Chiang Rai)

白い寺院(ワット・ロンクン)と青い寺院(ワット・ロンスアテン)で知られる北タイ第二の都市。

  • 距離: 約200 km
  • 所要時間: 3時間〜3時間45分
  • 交通手段: GreenBus(グリーンバス)がチェンマイバスターミナル3から毎日13本運行。VIP(400 THB、3時間20分)とExpress(290 THB、3時間45分)の2クラス
  • 予約: GreenBus公式サイトまたはアプリで事前予約可能
  • 日帰り可否: 朝7時発→10時半着、夕方16〜17時発で帰れば日帰り可能だが、タイトなスケジュールになる。できれば1泊がおすすめ

パーイ(Pai)

山間のヒッピータウン。パーイ峡谷、温泉、棚田の景色で人気。

  • 距離: 約130 km
  • 所要時間: 3〜4時間
  • 交通手段: ミニバン(150〜200 THB)がアーケードバスステーション2から毎日12本(6:30〜17:30、約1時間間隔)運行
  • 名物ルート: 国道1095号線は「762カーブの道」として有名。車酔いしやすい人は酔い止めを用意すること
  • 日帰り可否: 片道3〜4時間かかるため日帰りは厳しい。最低1泊は必要

ランプーン(Lamphun)

タイ最古の都市のひとつで、ハリプンチャイ王国の遺跡が残る静かな古都。

  • 距離: 約25 km
  • 所要時間: 40分〜1時間
  • 交通手段: チャーンプアックバスターミナルからソンテウまたはミニバン(20〜30 THB)。ランパーン(Lampang)と組み合わせた日帰りも可能
  • 見どころ: ワット・プラタート・ハリプンチャイ(黄金の仏塔)、ランプーン国立博物館
  • 日帰り可否: 余裕で日帰り可能。半日でも回れる

ドイインタノン(Doi Inthanon)

タイ最高峰(2,565m)。山頂の双子のパゴダ、滝、雲海が見どころ。

  • 距離: 約100 km(公園入口まで)
  • 所要時間: 1時間半〜2時間
  • 交通手段: 公共交通機関では行きにくく、レンタカー、レンタルバイク、またはツアー参加が現実的。チェンマイ市内のツアー会社で日帰りツアーが800〜1,500 THB程度で催行されている
  • 入園料: 外国人 300 THB
  • 日帰り可否: 日帰りが基本。早朝出発すれば滝と山頂の両方を回れる

その他の日帰り先

目的地 距離 所要時間 概要
ドイステープ寺院 15 km 30分 チェンマイ随一の名所。ソンテウで片道60〜100 THB
メーカンポン村 50 km 1時間 山間のコーヒー村。カフェ巡りとトレッキング
サンカンペーン温泉 36 km 45分 天然温泉、卵を茹でられる間欠泉
チェンダオ 70 km 1時間半 鍾乳洞と山岳トレッキング

旅行者向けTips

  • Grabアプリは日本で事前インストールしておく。現地でSIMを買ったらすぐ使える状態にしておくとスムーズ。タイの電話番号でSMS認証が必要なので、SIM購入を最優先にすること
  • ソンテウは「乗り合い」が基本。行き先が合わない場合は断られることもある。無理に交渉するよりGrabを呼ぶ方が早い
  • 旧市街内は徒歩でも回れる。1辺約1.6kmの堀に囲まれた正方形で、対角線でも2km強。寺院巡りなら徒歩+ソンテウで十分
  • 日曜のサンデーマーケット開催時(ターペー門〜旧市街)は周辺道路が歩行者天国になり、Grabの迎車が困難になる。少し離れた場所でピックアップ地点を設定すること
  • バイクレンタルは保険の確認を忘れずに。タイの交通事故率は世界トップクラス。最低限の対人・対物保険が含まれているか、レンタル前に必ず確認する
  • 現金は小額紙幣を多めに。ソンテウやトゥクトゥクはお釣りが出ないことが多い。コンビニで崩しておくと便利
  • 雨季(6〜10月)のスコール時は交通が麻痺しやすい。Grabのサージも跳ね上がるので、カフェで30分ほど雨宿りしてから動くのが賢い

更新履歴

  • 2026-03-26: frontmatter日付更新(lastVerified・nextUpdateDue)
  • 2026-03-21: 初版公開