上海の安全・実用情報

上海は中国の中でも最も国際化された都市だ。暴力犯罪のリスクは世界的に見ても低いが、「グレートファイアウォール」によるアプリのブロック、現金が使えない場面、観光客を狙ったスキャムなど、日本と異なる注意点がある。特に渡航前のスマートフォン決済の準備が旅の快適さを大きく左右する。

治安・安全情報

総合評価

上海はアジアの大都市の中でも治安が良い部類に入る。観光客への暴力犯罪は極めて稀で、夜道も基本的に安全だ。

注意すべき事項

スリ・置き引き

  • 南京東路・豫園・人民広場など観光スポットで稀に発生
  • 地下鉄の混雑時はカバンに注意
  • 全体的にリスクは低いが、混雑する観光地ではバッグを前に持つ習慣をつける

詐欺(スキャム)

  • 茶館詐欺(Tea House Scam):見知らぬ人(英語話せる若い人)が「お茶を一緒に飲みませんか」と誘い、法外な請求書を出す。見知らぬ人の誘いに安易に乗らない
  • 偽アート学生:「展覧会に来ませんか」と誘い、高額な絵を売りつける
  • 非公式タクシー(黒车):正規メーターなし。空港や鉄道駅で声をかけてくる非公式ドライバーには乗らない

ビザ・入国手続き

日本国籍者のビザ要件(2026年)

重要:日本と中国の間にはビザ免除協定がない。中国本土への入国には通常「L(観光)ビザ」の取得が必要。

項目 内容
観光ビザ(L) 事前に中国大使館・領事館または旅行代理店で取得
申請に必要なもの パスポート・申請書・写真・往復チケット(場合により)
処理時間 通常4営業日〜1週間程度
有効期間 通常1〜2年(滞在は1回90日まで)

例外(ビザ不要の場合)

  • 上海浦東国際空港・虹橋空港経由の**トランジット(過境)**で、第三国への接続フライトがある場合、144時間(6日間)以内のビザなし滞在が可能(条件あり)

2026年最新情報:中国は2023年から日本を含む複数カ国向けのビザなし試験的措置を拡大・継続している。渡航前に在日中国大使館または外務省のウェブサイトで最新情報を確認すること。


気候・ベストシーズン

気温 天気 観光のオススメ度
1〜2月 2〜10°C 寒い、乾燥 △(服装注意)
3月 8〜16°C 肌寒い・霧雨
4〜5月 16〜25°C 快適・春 ★★★(春が美しい)
6月 22〜28°C 梅雨 △(雨が多い)
7〜8月 28〜36°C 猛暑・蒸し暑い △(熱中症注意)
9〜10月 18〜28°C 快適・秋 ★★★(最高の季節)
11月 10〜18°C 涼しい ★★
12月 3〜10°C 寒い

ベストシーズン:4〜5月(春)と9〜10月(秋) 避けるべき時期:7〜8月(猛暑・湿度が高い)、春節(1〜2月:観光地が激混み)


通貨・決済

基本情報

  • 通貨:人民元(CNY / RMB)
  • レート目安(2026年3月):1元 ≈ 13.5円 / 100円 ≈ 7.4元

スマートフォン決済(最重要)

上海の日常は**Alipay(支付宝)とWeChat Pay(微信支付)**に支配されている。現金不可の場所も多く、外国人旅行者はこの2つのどちらかを必ずセットアップする必要がある。

Alipay(推奨)

  • 外国のVisa・Mastercard・JCBをアプリ内で登録可能
  • アプリ内での地下鉄乗車・DiDi・レストラン・コンビニ決済に使える
  • 残高チャージ上限:¥10,000/回
  • 手数料:外国カードからの決済は¥200を超えると3%の手数料

WeChat Pay

  • 同様に外国カードを登録可能
  • 取引上限:1回¥6,000、月間¥50,000

準備の注意点

  • 日本にいる間に登録・テスト決済まで完了させること。中国現地での設定は言語・SMS認証の壁が高い
  • 外国カードによる決済には限度額と手数料がある

現金について

現金(人民元)が必要な場面:

  • 一部の小規模食堂・屋台・市場
  • 観光地の入場料(一部)
  • 緊急用

用意する目安:¥500〜1,000(約6,750〜13,500円)を緊急用に。メインはAlipay/WeChat Pay

ATM

  • ICBC・Bank of China・建設銀行など大手銀行のATMで外国カードが使えるものもある(事前確認推奨)

インターネット・VPN

グレートファイアウォール(GFW)

中国では政府のインターネット規制により以下のサービスが使用できない。

ブロックされているサービス

  • Google(検索・Mapsなど全て)、YouTube
  • Instagram、Facebook、X(旧Twitter)
  • WhatsApp、LINE
  • Gmail
  • 多くの海外ニュースサイト

使える代替サービス

  • 地図:百度地図(Baidu Maps)、高德地図(Amap)
  • 検索:百度(Baidu)
  • メッセージ:WeChat(微信)、QQ
  • 翻訳:百度翻訳(ただしGoogle翻訳はVPN必要)

VPN

個人向けVPNの使用は中国法律上グレーゾーン(政府認定のVPN以外は禁止とされる)。しかし観光客への個人使用を取り締まる事例は少なく、多くの旅行者が利用している。

重要

  • 中国に入国してからVPNをダウンロードするのは非常に困難(アプリストアで非表示になる)
  • 必ず日本を出発前にVPNアプリをインストール・テストしておくこと
  • 政治的イベント時(全人代等)は接続が不安定になることがある

旅行予算の目安

旅行スタイル 1日あたりの目安
バジェット ¥200〜400(約2,700〜5,400円)
ミドルレンジ ¥500〜1,000(約6,750〜13,500円)
ラグジュアリー ¥2,000〜(約27,000円〜)

食費の参考価格

食事の種類 価格(CNY) 円換算
小籠包(地元店)1籠 ¥15〜25 約200〜340円
麺料理(ローカル食堂) ¥20〜40 約270〜540円
セットランチ(ファストフード) ¥30〜50 約405〜675円
中級レストラン(1人) ¥80〜150 約1,080〜2,025円
高級レストラン(1人) ¥300〜1,000 約4,050〜13,500円

健康・衛生

項目 内容
水道水 直接飲まない。ボトルウォーターを購入(500ml ¥2〜5)または宿のウォーターサーバーを使う
大気汚染 PM2.5が問題になる日がある。外出前に天気アプリで大気質指数(AQI)を確認
食品安全 大型チェーン・ホテルのレストランは問題ない。路上屋台は衛生面で当たり外れあり
病院 英語対応の国際クリニックが市内に複数ある(Parkway Health等)。費用は高め

電圧・コンセント

項目 内容
電圧 220V / 50Hz
プラグ形状 Aタイプ(日本と同じ2ピン)が最も多い。Cタイプ(丸ピン)・I/Oタイプも混在
変換アダプター 日本のプラグがそのまま使える場合が多いが、3ピンのものは要変換

緊急連絡先

機関 番号
警察 110
救急 120
消防 119
交通警察 122
在上海日本国総領事館 +86-21-5257-4766(緊急時)

Tips:ホテルのビジネスカードを必ず持ち歩くこと。緊急時や迷子の際にタクシー運転手に見せれば戻れる。


チップ文化

中国ではチップの習慣はない。高級ホテル・レストランでもサービス料が含まれているか確認すれば十分。


旅行者向けTips

  • 出発前チェックリスト:Alipay or WeChat Payの外国カード登録、VPNのインストール・動作確認、地図アプリのオフラインダウンロード(Google Maps代替)、ホテル住所の中国語メモ
  • 大気汚染が気になる日はマスクを持参。PM2.5対応フィルターがある製品が効果的
  • 上海の公共WiFiは遍在するが、VPNなしでは制限されたものが多い
  • 簡単な中国語(ニーハオ・シェシェ・ブーヨー)を覚えると旅が少し楽しくなる

時差・タイムゾーン

  • 標準時: CST(中国標準時)UTC+8
  • 日本との時差: −1時間(日本12:00 → 上海11:00)
  • サマータイム制度なし
  • 中国全土が1つの時間帯(北京時間)に統一されている点に注意。西部地域でも同じ時間を使うため、実際の日の出・日没時刻と時計がずれる現象がある

言語

公用語は普通話(プートンファ、標準中国語)。上海では上海語(呉語)も話されるが、観光地では普通話が通じる。

観光エリア・国際ホテル・外国人向けレストランでは英語も一定程度通じる。ただし街中では英語が通じない場面が多い。翻訳アプリ(VPN経由でGoogle翻訳、またはBaidu翻訳)の活用が効果的だ。

覚えておくと便利な中国語フレーズ:

表現 中国語(拼音) 発音目安
ありがとう 谢谢(Xièxiè) シェシェ
いくらですか? 多少钱?(Duōshao qián?) ドゥオシャオ チェン
トイレはどこ? 厕所在哪里?(Cèsuǒ zài nǎlǐ?) ツーソー ザイ ナーリー
要りません 不要(Bùyào) ブーヤオ
助けて 救命!(Jiùmìng!) ジョウミン
これはいくら? 这个多少钱?(Zhège duōshao qián?) ジェガ ドゥオシャオ チェン

SIMカード・インターネット

上海ではSIMカードの購入時に**実名登録(パスポート提示)**が必要。空港・コンビニ・通信会社窓口で購入可能。

キャリア 特徴
China Unicom(中国联通) 外国人旅行者向けプリペイドSIM対応、英語サービスあり
China Mobile(中国移动) 最大のカバレッジ、地方でも繋がりやすい
China Telecom(中国电信) 3つ目の大手キャリア
  • 7日間プリペイドSIM(データ3GB〜10GB): ¥100〜200
  • 注意: 中国国内のSIMでもGFW規制は同じ。VPNは事前に日本でインストールしておくこと
  • データローミング: ドコモ・KDDI・ソフトバンクは中国ローミング対応あり。1日2,980円〜程度の日額パックが手軽

トイレ事情

  • 観光スポット・デパート・高級ホテルのトイレは概ね清潔
  • 公共トイレ(公厕): 無料が多いが清潔度に差がある。トイレットペーパーが備え付けられていない場合も多いため、ポケットティッシュを常備する
  • 上海の観光エリア(外灘・南京東路・豫園)周辺はトイレが整備されており大きな不便はない
  • ウォシュレット(温水便座)は高級ホテルや大型商業施設にはある

飲酒・喫煙

  • 飲酒可能年齢: 18歳以上
  • 禁煙エリア: 2017年以降、上海市内の公共の場(飲食店内・公共交通機関・公園の多くの場所)での喫煙は規制が強化されている。違反すると罰金(50〜200元)
  • 喫煙場所: 指定喫煙所(吸烟区)を使う。屋外の喫煙エリアを示す看板を確認
  • アルコール購入: 特定の販売禁止時間帯はなく、コンビニ・スーパーで24時間購入可能
  • 外灘のバー: 人気の夜景エリアにバーが集中。カクテル¥80〜200程度

写真撮影

  • 一般的な観光地・街中での撮影は自由
  • 軍・警察施設、政府機関の周辺: 撮影禁止。表示がある場所ではカメラをしまう
  • 地下鉄駅構内: 撮影を禁止している路線・駅もある
  • 人物撮影: 許可を取るのがマナー。特に露天商や路上パフォーマーは許可が必要
  • 豫園・新天地・外灘など観光スポットでの撮影は問題なし

LGBTQ+情報

中国では同性愛は違法ではない(1997年刑法改正で非犯罪化)。ただし法的な同性パートナーシップ・結婚は認められていない。

上海は中国国内でLGBTQ+コミュニティが最も活発な都市の一つで、静安寺・徐家汇エリアにLGBTQ+フレンドリーなバー・クラブが点在している。公共の場での過度なスキンシップは保守的な視線を受けることがあるため、控えめな行動が無難。


女性の一人旅

上海は女性一人旅でも比較的安全に旅行できる都市だ。

  • 夜間の移動: 流しタクシーは避け、DiDi(滴滴)またはホテル手配の公認タクシーを使う。Alipayアプリ内からDiDiの呼び出しが可能
  • ホテルのセキュリティ: 国際ブランドホテルは安心。中級ゲストハウスも一般的に問題ない
  • 声かけ: 観光地で友好的に見えて詐欺目的(茶館詐欺・アート展詐欺)の声かけがある。見知らぬ人についていかない
  • バー・クラブ: ドリンクを他人から受け取る際は注意。グラスから目を離さない
  • 外灘・新天地・静安寺エリアは夜間でも人通りが多く比較的安全

チップ文化(詳細)

中国ではチップの習慣がない。以下の場面でも不要:

  • レストラン(サービス料が別途表示されている場合を除く)
  • タクシー・配車アプリ
  • ホテルのポーター(高級ホテルでも不要)
  • マッサージ・スパ

強要してくる場合は、サービス料が明記されているかを請求書で確認する権利がある。


更新履歴

  • 2026-03-27: 時差・言語・SIMカード・トイレ・飲酒喫煙・写真・LGBTQ+・女性旅情報を追加
  • 2026-03-24: 初版作成